CIA記念館にあるお宝と推理ゲーム

記念館は個人の収集物を寄付されたもの、外国の諜報部から取り上げたもの、そしてCIA自身の資産からなっている。最も興味をひくのがENIGMA機で、ドイツのエンジニアにより発明され、ドイツ軍が暗号化されたメッセージを送るのに第二次世界大戦時のナチスにより使用された。

ポーランド、フランス、イギリスの暗号専門家がやがてENIGMAのコードを解読していったが、その偉業は2014年アカデミー賞受賞作品となった映画《イミテーション・ゲーム》に描かれている。

現物はほとんど残っておらず、希少なENIGMA機の個人保有分の1台がクリスティーでオークションにかけられ、50万ドル以上の金額で落札された。私は幸運なことに、現物の2台を見ることができた。一つはCIA本部で、もう一つはロンドンの戦争博物館でだ。

CIA記念館の展示物でお気に入りは口紅ガンである。別名キスオブデスという。小さな口径の口紅ケースに見せかけた単発式ピストルである。女スパイが切羽詰まった時、ハンドバッグに手を伸ばし、口紅のチューブを外し、至近距離からターゲットを殺すのだ。

記念館の端にはスパイ活動に必要な知識の勉強を2倍にするような展示物がある。それは高度からスパイカメラにより日中に撮影されたワシントンDCの大きな白黒写真である。

その写真は長さ20フィート、幅5フィートの大きさで床に埋め込まれている。不注意な訪問者ならその上を歩いて、気づくこともないだろう。

面白い遊びとして、ゲストに向かい、写真を指し示してその写真が撮影された正確な日と時間がわかるか尋ねるのである。

普通の最初の返答は「全く思いもよらないです」だ。

そしてそのゲストは考え始める。その写真では木々の葉っぱが落ちてしまっているので、10月から3月の間に時間枠を区切ることができる。