第二次新観測研究計画(2004年度〜2008年度)

第一次新計画に引き続き地震発生の準備過程の解明を進め、「地殻活動予測シミュレーション」を開発することを目指した。

地震発生に至る地殻活動に関する理解が進み、第一次新計画で提唱された「アスペリティモデル」の有効性の検証が進み、地震本部が実施している地震発生の長期評価に貢献した。(「地震及び火山噴火予知のための観測研究計画の推進について(建議)(2008年7月17日)」)

「地震予知及び火山噴火予知のための観測研究計画」 (2009年度〜2013年度)

地震予知研究と火山噴火予知研究で共同の観測研究を実施することは、同じ地球科学的背景を持った現象の理解に有効であること。②共通の測地学的・地震学的手法で観測して研究することができる対象が多い。

③我が国には世界に類を見ない緻密な地震・地殻変動の観測網が整備されており、これらの研究資源は地震現象と火山現象のいずれの観測研究にも有効に活用し得る。

この事から2009年度から始まる5か年計画は「地震予知及び火山噴火予知のための観測研究計画」とされた。

5.完成した「地殻変動観測網」(GEONET)の活用?

阪神淡路大震災には間に合わなかったが、震災後の「大盤振る舞い」予算もあって、国土地理院を主管として、2003 年春には、離島を含めた全国1,200か所以上に設置された電子基準点を活用した「地殻変動観測網」(GEONET、詳細は後述)が完成した。

これは、地震調査研究推進本部が1997年、「地震に関する基盤的調査研究計画」のもと、これまでの地域を絞った観測体制を変更し、地震活動を客観的に把握するためには「全国くまなく均一の密度で調査観測を継続することが必要である」(太字は筆者)とした方針がベースとなっている。

ここに、24時間365日の地殻の連続観測体制が出来あがり、約100年の歳月をかけた、先人たちの念願が叶ったことになる。

ところが、兵庫県南部地震で明確な前兆現象が捉えられなかったこと、さらには2003年の十勝沖地震の際のスロースリップ現象をこの観測網がキャッチできなかったこともあって、以後、このシステムが「地震予知」と関連して表舞台に出てくることは無かったといわれた。

現に、国土地理院のHPでは、「GEONETの利活用」として、まず「GEONETを活用した測量」を紹介、次いで「GEONET がとらえた地殻変動」では、「観測された地殻変動は地震のメカニズムの解明や火山活動の予測等に活用される」(2)とし、地震の予知・予測のことには触れられていないのである。


(1) 住友則彦「これで良かったか地震予知研究―過去30年間を振り返って」京都大学防災研究所年報 第43号A 平成12年4月

(2) 国土地理院https://www.gsi.go.jp/denshi/denshi45007.html

【前回の記事を読む】阪神・淡路大震災の予知には失敗した。もし予知研究が間に合っていれば、多数の犠牲者を救えたかも知れない。

次回更新は10月11日(金)、8時の予定です。

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