「警察に、犯人と遭遇する危険があるから家を出ろと言われなかったのですか?」

「言われましたが、でも心配じゃないですか。夏美さんを探さないとと思って……見つかりませんでしたけど」

「では、あなたは夏美さんの遺体は見ていないのですね」

「はい……あとから警察の方から電話があって、事情を再度聞かれたときに、夏美さんのことも聞きました」

「なるほど。自然な流れだと思います。それで、夏美さんとはどういう関係でしたか?」

「ええと、ちょうど一年半前くらいからですかね。夏美さんが仕事を探しているって話を聞いて、うちも人手不足になっていたので、雇わせていただきました。とても明るい人だし、社交的で仕事を覚えるのも早くて助かっていました。お客さんからも慕われていましたよ」

「あなたに似たタイプということですか?」

「ええ? 違いますよ」

「あなたも話すのが得意で、人当たりが良いように見えますが」

「それは、ありがとうございます」

堀田は困惑しながらも、それを褒め言葉だと捉えて深瀬に礼を言った。

「でも本当に違うんです。夏美さんは、私と違って都会から来て、着ている服もオシャレだし、お料理も得意で、写真をよく見せてもらいました。どれもレストランみたいで、素敵だなって思っていましたよ」

なるほど、と深瀬は頷いた。病的なまでに綺麗なキッチンで、レストランで出てくるような料理の写真を撮る。ここまで、夏美のイメージは一貫していた。