アイアムハウス

次に深瀬はパソコンのディスプレイに目をやった。デスクトップパソコンは本体が光っており、画面にはいくつものウィンドウが表示されている。

「この画面は犯行当時のままか?」

「そのようです」

「俺にはわからんが、何の表示だ?」

「これはCHAO(チャオ)とかいう、人気のオンラインゲームだそうです。オンライン上でチャットをしながら戦うサバイバルゲームで、世界中でプレイされています。どうやら世界大会も開催されているようですよ。賞金は数億円だそうで」

「秋吉春樹もプレイしていたのか?」

「この画面を見るに、プレイヤーですね」

「オンラインゲームの最中に背後から襲われたのか。部屋に人が入ってきても気づかなかった?」

「ヘッドホンが落ちていますし、ゲームの音声を聞いていて気配に気づけなかったんじゃないでしょうか? 現場の状況を見るに、それが妥当な線かと」

「これは犯行当時の画面か? 犯人が何か偽装した可能性は?」

そう言って、深瀬はウィンドウを見つめる。世界中の誰とでもチャットできるというそのゲームは、朝七時の会話が最後のものだった。

「見ろ。7:01まで書き込みがある。秋吉春樹の書いたものだな?」

「これは、錯乱状態ですね……」

笹井が覗き込んだ画面には『助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて』とか『どうしてどうして』『返事してよ!』など、到底正気とは思えない文言が並んでいる。