アイアムハウス
一
「このワイヤーは? どこから調達したかわかるか?」
「同じ素材のものが、庭に置かれていたそうです。DIY用の資材を犯人が持ってきたのかと」
「夜にか?」
「リビングの灯りが点いていれば見える場所にありました」
なるほど、と深瀬は頷く。
「ともあれ、死因は溺死だ。肺が異様に膨らんでいるからな。大量の水を飲んだのだろう。注射痕は?」
「ありません」
「両親とは殺し方が違うか……」
冬加の首には内出血のような跡はない。意識があるうちに浴槽に顔を突っ込まれて溺死した可能性が高いと深瀬は指摘した。
「全員、争った形跡があるなら、爪の中に犯人の皮膚や皮脂が付着している可能性がある。見落とすなよ」
深瀬は、笹井と共に付いてきていた鑑識に指示を出した。
「時間も経過している。DNA採取できるかは難しいところだが、科捜研に回せ。科学と数字は嘘をつかないだろう」
鑑識が頷いたタイミングで、笹井が口を挟む。
「深瀬さん、このユニフォームについても調べてあります」
「部活動か?」
「いえ、これは部活や地域のダンスチームのものではなく、今流行っているアイドルグループの衣装みたいです。単に、ファンだったのではないかと」
「一般販売されているものか?」
「はい、ただ韓国の人気グループの限定グッズのようで。ネットでも高値で取引されているようです」