二人で過ごす時間は十分あったし、互いの生活リズムも分かり合えたという点では、今後結婚して同居しても大丈夫だと思った。

ただ、マンションの掲示板には町会の回覧板やゴミ出しのルールが貼ってあったが、ラウンドカフェのようなイベントは見つからなかった。

土曜日になり、美紀が自分のマンションに戻る日が来た。健一は、改まった様子で「美紀、同居生活はどうだった。僕は一緒にいても大丈夫だと思ったが、君の感想も聞いてみたい」

「そうね、一週間過ごしてみて二人での生活はやっていけると思ったわ。でも、ラウンドカフェやいろんなクラブがある今のマンションのようにコミュニケーションが取れる生活の方が楽しいわ。もしよかったら、今度は健一さんが一週間私のマンションに来てラウンドカフェにも参加していただけないかしら」

「確かに、両方試してみるのが良いね。分かった。来週土曜日朝早く着くように段取りしてみるよ。そしたらラウンドカフェにも参加できるだろ」

「ありがとうございます」

「話は決まった。では送っていくよ」

車に揺られながら、美紀は二人の関係が第二段階に進んだと感じていた。多分近い将来二人は結婚することになるだろうが今の環境も手放したくない。健一がこちらに来ることが無理なら、当分は別居結婚とまではいかなくても半同居ぐらいから始めるのがいいかもしれない。

結婚のカタチは人それぞれ。家族構成が変われば考え方も変わる。きっと時期に応じて一番心地良い形に変化していくのではないか。美紀の思いは健一に分かってもらえるだろうか。健一が美紀の部屋で一週間過ごしたあと、どういう感想が聞けるか気になるところである。

【前回の記事を読む】ふたりで歩くアーケード街、ふたりで食べる夕食 お試しの共同生活が遂に始まる

 

【イチオシ記事】生まれたばかりの息子の足に違和感。門前払いを覚悟で病院に行くと…

【注目記事】「私の顔を返して、私の顔を返してよ!」鏡に映っていたのは、可愛いワンピースを着た化け物だった…