「ああ、その人も混乱していただろうしな。思い込みとかで言ってるかもじゃない?」
「あ、でも最後に……」
「なに?」
「その人、警察は信用するなって言ったんです」
「常識的に考えれば、信用すべきは警察の方だけどねぇ」
宮内は呆れたような表情を作った。腕を組んで安物の椅子の背もたれに寄りかかる。滝口も深く頷いた。
「……そうですよね。でも私、あの時まだ冷静じゃなくて」
「まあでも、観覧者ジャックなんて突飛(とっぴ)な証言だから、警察も間に受けることはないだろうけど」
「で、ですよねぇ。一応、そういう話があるって、さっき運営局に来た警察の人に言っておきました」
「ああ、僕はシステム管制室から追い出されたけど、君も真下の運営局から追い出されてここに来たの?」
「ええ、そうなんです。私以外も、ドリームアイのスタッフは全員ここにいるようにって」
滝口は頷いた。
「でも、真下の運営局はその時には使えなくなってて」
「使えなくなった?」
宮内に聞き返され、滝口は真剣に頷く。
【前回の記事を読む】システムを乗っ取った犯人がいたとしても、観覧車を動かすか止めるかしかできないはず…ではどうやってゴンドラを落とした!?」
次回更新は10月17日(木)、20時の予定です。