「では、すぐに拠点を作れ」
「外ですか?」
「とりあえずはそうだな。来場客が邪魔にならない場所にテントを張って、あとは屋外用の電源と捜査用PCを準備。なるべくあの観覧車の近くがいい」
「それが……ドリームランド側は、ゴンドラ落下による火災と、続けての落下を警戒して、なるべくドリームアイには近づかないで欲しいと」
「ハァ? それじゃ、梯子車やヘリによる救出ができんだろうが!」
「はい。しかし、二次災害を起こしたら非難されるのは警察ですし……」
城南警察署の警察官の言葉に、貝崎は厳しい表情で頷き、とにかく拠点を作れと指示を出した。二十分程度経過した後、ドリームアイが見える場所で貝崎への報告が始まる。
「それではまずこの観覧車事故の概要を説明します。ここドリームランドにおいて、午前十一時五十五分、『愛の台地』内の展望型巨大観覧車『ドリームアイ』が予期せぬ停止。正午過ぎに、ゴンドラの一つが地上へ落下しました。落下後のゴンドラはかなり先まで転がったので、ドリームアイに近づかなくても消火、検分が可能でした」
「被害者は?」
「死亡しています。ドリームアイの担当者によると、その落下したゴンドラはシルバーゴンドラと呼ばれる特別なゴンドラとのことです」
「今世間で話題を席巻してる『ドリームアイ』で落下事故とは社会的影響も甚大だ。しかもこのクリスマスイヴにか」
「ちょっと不自然ですよね」
【前回の記事を読む】「俺達は上空120mで宙吊りされた箱の中だ。この箱もいつ落ちるか分からない…」史上初の観覧車ジャック、頼りはただの女子大生!?
次回更新は10月13日(日)、20時の予定です。