筋萎縮性側索硬化症患者の介護記録――踏み切った在宅介護

「地味、地味、地味!」の のどかな山中病院

(二)第二のレスパイト病院へ

時あたかも五月。目に沁みる新緑。山にこだまして聞こえてくる小鳥のさえずり。小川のせせらぎ。なんというのどかなことでしょう。これが夫の入院のお試し訪問でなければ、川のほとりで一句をしたため、初夏の句を一吟でも吟じて・・・と何度思ったことか。

わが家からとびきり低速運転の私のハンドルでも四、五十分というところでしょうか。あまり心配もなく病院に到着いたしました。こうして第二のレスパイト病院として、山中病院にお世話になることになりました。

(三)大好きな神石さんとルンルン気分

入院の日は、小谷病院の訪問看護師主任の神石さんが移送車に同乗してくださいました。夫はこの方を主治医の次ぐらいにご信頼申し上げております。仕事も手早く、抜かりなく、なおかつ優しい心遣いをされるので、家族にも見せたことのない笑顔を彼女には送る、大のお気に入りなのです。

ですので、私たち家族も安心してお任せいたしました。案の定、彼女は病院到着後もすべて手際よく整えてくださり、夫も神石さんがそばにいて下さるということで、安心しきっていた様でした。

新しい病院での生活が始まるので不安を訴えるかと心配しておりましたが、やれやれでした。(これで子供たちも安心して仕事に専念できる)と私は安堵いたしました。