一・五地下の物性

一・五・一粒子と間隙

物理探査では、地下の物性の分布やその変化を捉えて、資源の分布や建造物を建てる地盤の強度などを判定します。そのためには、地下を構成するいろいろな岩石の物性の違いをあらかじめ知っている必要があります。以前表で、各探査法で対象となる物性を表の第四列に示しました。

岩石は鉱物粒子の塊ですが、粒子の形は不規則であり、それが接しているところには隙間が生じます(図3)。

[図3]岩石は、鉱物粒子と間隙とから構成されています。 間隙は水で満たされている(飽和している)場合と水だけでなく 空気やガスが含まれている場合とがあります。

その隙間(間隙)は、地下水、空気、天然ガスなどの流体により満たされています。岩石は、いろいろな種類の鉱物粒子とその間隙との集合体なので、鉱物粒子の物性に左右され、間隙を満たす流体の種類やその物性にも関係します。岩石全体の中で間隙の占める割合(間隙率)は岩石全体の物性に関係します。

間隙率は、硬い岩石では五%以下、間隙の多い岩石では一〇から二〇%くらいです。間隙率の大きさは、岩石の物性に大きく影響します。これからの節では、物理探査で得られる物性の特徴を示し、どうして地下の様子を診ることができるのかについて説明します。

【前回の記事を読む】方位磁石のN極は北極からずれている? 電気と地球の性質を利用した探査方法、比抵抗法電気探査。

次回更新は9月16日(日)、22時の予定です。

 

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