地元の農家の皆さんとご一緒できる生産組合の仕事も、私にとっては、かけがえのない機会です。人生の先輩方のお話は、実に面白く含蓄に富んでいます。地元のことも、いろいろと教わりました。皆さんは組合の管理農地とは別に、ご自分でも野菜や果物を栽培していて、それを頂くことがあります。新鮮なので美味しいし、長持ちするので本当に重宝しています。
また、組合で生産し出荷した後に残った野菜を、持ち帰ることもできます。キャベツなどは収穫して野菜室の保存だけで、特別なことをしなくても2か月は食べられます。ネギは年末に収穫したものなら、翌春まで鮮度が失われません。こちらに来て、初めて知って驚くことばかりです。
伊那谷は、日照時間が長いので野菜や果物が本当に美味しいのです。葡萄は葡萄専業農家の年に一度の収穫祭の日に、林檎は近くの農家から廃果(といっても抜群に優れモノですが)を、イチゴは組合のハウスに出向いて分けてもらっています。
こんな買い方ができることが、おかげ(こちらの皆さんがよく使う言い方)です。食べ物のことや地元の皆さんのことを書き始めると、止まらなくなりそうですのでこのくらいにします。話がどんどんそれてしまいました。
こちらに来てから妻はリハビリが生活の中心ですが、図書館で毎週のように本を借りてきて読書する時間も増えました。最近は車椅子で書棚を回り、自分の好きな本をどんどん探しています。高いところにある本は手に取り辛そうです。それでも、図書館のスタッフが気づくと声をかけてくれます。推理小説を主に手当たり次第に読んでいます。
妻が信濃毎日新聞の1面コラムの書写を始めたのは、1年前からだったでしょうか。毎日、欠かさず切り抜いて専用ノートに書き写しています。
590字のマスぴったりに収まるらしく、筆者の技量に感心して話してくれたことがあります。毎日違う話題を取り上げ、決まった文字数で伝えたいことをまとめているプロはさすがです。妻が庭を一人で歩く時間も増えました。最初の頃は付き添って歩いていましたが、この2年くらいは自分の好きな時間に歩いています。
妻の病気からお互いの関係が、前とは違ってきたように感じています。
【前回の記事を読む】「どうしてこんな病気になってしまったんだろう…情けなくってしょうがない。生きていっていいのかしら。」妻の独り言が聞こえ…
次回更新は9月8日(日)、21時の予定です。