娘の部屋にはピアノがあります。彼女が祖母に買ってもらったこのピアノと雛人形は、私たちと一緒に引っ越して来ました。絶対に処分しないでとの娘の願いを、断る理由も勇気もありません。
このピアノと遊ぶことも、いい気分転換になっています。弾く真似事程度ですが、時々妻が褒めてくれるのでいい気になって音を出しています。いつか『街角ピアノ』でデビューすることが目標です。
蕎麦打ち、しめ縄や縄綯(なわない)は、地元の人たちと交流できる貴重な時間です。道具一式は、蕎麦打ちを卒業された地元の先輩から受け継ぎました。ちょっとした立派な道具だったので、周りの皆さんから蕎麦打ち名人と冷やかされ続けています。
しめ縄や縄綯いは、地元のお祭りでも欠かせない伝承の技の一つですが、こちらでも綯える人が年々少なくなっているようです。
年末になると各地区で高齢者から子どもまで参加して、しめ縄教室が開かれます。そこでも教える側が少なくなっています。公民館のしめ縄講座に誘われて参加したら、師匠養成講座だったので驚いたこともあります。
そこで習ったことで手順はいくらか身につきました。地元の小学生たちと、一緒にしめ縄作りをする機会もありました。師走の貴重な経験になっています。5年生が育てたもち米をお礼にもらって、焼餅で食した味はいつまでも忘れられません。
私たちの師匠は、隣町でわら細工を製造販売している南信州米俵保存会代表で、大相撲の土俵の俵も一手に引き受けています。全国の名だたる神社にもしめ縄を奉納するなど忙しい方ですが、地元の文化継承を大切に考え、私たちの手ほどきも熱心です。