第三章
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私はテツロウ君と、世界中の楽園と呼ばれる場所にいきました。とても素晴らしい地球。私たちの存在はあって、無いようなもの。
もちろん子供を授かることもなかったわ。そういう存在だからとクジラは教えてくれた。
ねえ、お母さん。子供を産んで育てるのってどんなふう?
とても大変なの?
だけど、とても嬉しいことなのでしょ?
私が生まれて良かった? それとも迷惑だった? いつか会えたら教えてください。
だけど、お母さん。私が病気になってしまってごめんなさい。
あるとき、出かけた日本の場所が沖縄県だったことがあるの。
沖縄の海には島と浜辺、それを囲う自然の美しさが際立つ場所があると教えられたわ。テツロウ君も一緒に行ってくれた場所。
久米島という島には砂浜だけの島がくっついているの。その浜の名前は、はての浜。はての浜には何もない美しさがあるって。
普通の人は、南国リゾートのような砂浜と海とその景色に最高の思いになると言うんだけど、私はテツロウ君に言ったわ。
「何にも無くて、寂しいわ」
そうしたらテツロウ君もこう言ってくれた。
「僕もこの人の作ったものが存在していない自然が逆に耐えられなくなりそうだった」とね。