第三章

<<< 

テツロウ君は、それからというものどこかに行くときには一緒に出掛けてくれた。

私は寄り添う人が出来たの。

お母さんがお父さんと出会ったのは、いつ、どこで、どんな風だったの?

そういう質問をしたかったわ。

あるとき、テツロウ君はこんな風に出かける場所を提案してきたの。

「アイスランドっていう国は知ってる?」

「それは、北の方かしら?」

「そうだよ。北極に近い北の国」

セリャランスフォスという大きな滝があるからとテツロウ君が言った。

「夏の暖かい日だったけど、アイスランドは暖かい?」

「そうだね、多分、少しは」

「へえ。でもいつもの通りクジラが連れて行ってくれて、テツロウ君が一緒なら。私も行ってみたい。だけど、どうしてその場所へ?」

私がテツロウ君にそう聞くと、「実感できるから」と言ったの。

アイスランドというのは北の国。

クジラは、行けると言ってくれた。

寒いのか聞いたら、返事はくれなかったけどね。

だけど行ってみると、思ったよりも暖かくって、幻想的な草木の生えた自然の景色を見ることができたのよ。

そこは川から流れ落ちる滝が見える場所なんだけど、周辺は綺麗に生い茂った植物があるの。

その場所が珍しいのは滝壺があって、そこに落ちる水を裏側から見ることができるのよ。

自然が作り出した不思議な地形。そこのくり抜いた地形が、滝を裏側から見る場所を作っていたと知ったわ。