とても美しく、だけど、どんなに美しくても何もないことに寂しい思いでいた私に、テツロウ君はちょっとだけ追加で言ってくれたの。
「だけど、この太陽の暖かさで砂浜がジリジリする。僕の足は生きていることをまた感じたよ」
テツロウ君は笑顔を見せてくれたわ。 私は、寂しい思いで泣きたくなっていたけど、テツロウ君がいたから我慢できたのよ。
クジラに戻ってテーブルを見つめたら、最初にとても寂しい気持でいた頃を思い出したの。
(私はどうして、ここにいるの?)
「クジラさん、お母さんに会わせて」
そうしたらクジラは言ったの。
「それは出来ないのだよ……」
それを聞いて私は涙が出たのよ。それから私は、一週間以上泣き続けた。 テツロウ君も私を慰めてくれたけど、私の涙はテーブルの上を濡らし続けたの。
でも、眠ってまた起きると、いつでもテーブルの上は自動的に綺麗になってしまう。このテーブルは不思議だったけど、ずっとそういう仕組みだった。
(私の存在ってなに……)
私はテツロウ君の気持ちが同じくらいに分かったような気がしたわ。 やがて、涙も出なくなっていた頃にクジラは言ったのよ。
「一つ提案がありますよ。気持ちだけは伝えることができるかもしれない」ってね。
だから私は、お母さんに私がいることを伝えてほしいと言ったんです。私が旅をして見たこととか、感じたこととか、それからお母さんにとても会いたいこととか。
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