✓ 症状が出ると次のような行動をすることがある
・お金はあるだけ使う。お金を全部使うので、持たせてはダメ
・お腹が空いていると二〜三人前注文し、食べ切れず残す
・水を出しっぱなしにしている
・そのときの記憶がないので、「言ったのにできていない」ということが起こりやすい
・ボーッとしている
・「眠い、寝る」を連呼する
・痛みがわからない。足が痛いことがわからず義足で歩き回る
・別人のように暴言、暴力を出す
最近は、これらの症状は少なくなった。理由は、これらを回避する行動をとっているから。最近は、出ないだけであって、なくなったわけではない。
「谷口正典のトリセツ」を説明して、チームの津川監督と、小林コーチに託した数週間後、私は長女を出産した。
そして、その翌日、夫は、日本アンプティサッカー選手権大会がある関東に移動を開始した。夫は、行程表通りに移動していた。
実はその日、生まれたばかりの娘の容態が急変した。ミルクをうまく飲めず、だんだんと衰弱して、大学病院に救急車で搬送されることになった。
「パパにご連絡しなくて良いですか? パパの了解があってから搬送しましょうか?」
「……、いえ、連絡しなくて大丈夫です。私が保護者として判断できますから」
夫の行程表でいくと、離陸する前の飛行場のはず。きっと、この状況であれば、夫にすぐに連絡すべきだったと思う人は多いだろう。
しかし、このとき夫に心配や混乱をさせてしまうと、パニックを起こして判断ができなくなることを心配したため、移動が終わって、チームスタッフが一緒にいるときに話をしようと考えていた。娘の救急搬送の手続きは、すべて私一人で対応することにした。
【前回の記事を読む】「温かいね。このチームで本当に良かったね」涙目で夫に話した。高次脳機能障害を打ち明けると、仲間から送られてくるメッセージ…
パラリンピック特集は今回で最終回です。引き続き連載の更新をお待ちください。