第六章 タレントマネジメント

チームメイトにもう一つの障がいをカミングアウト

考えて即座に判断することも難しく、これらサッカーで必要な能力は、身体が覚えるまでがんばるしかないね、と話をしました。前回の練習では、実戦的なパターン練習がとてもためになったと嬉しそうに話していたことが印象的でした。

脳神経外科では、脳挫傷、肺挫傷、顔面骨折、あちこちの骨折があり、社会復帰をできたこと自体が驚異的な回復力。サッカーをしていることは奇跡的だと言われました。

今後、これまでと変化があるわけではありませんが、これまで以上にがんばる気持ちはあるようです。症状に対して、谷口自身認識ができていないこともあり、私からご連絡させていただきました。今後もご迷惑をおかけしますが、よろしくおねがいいたします。

妻・いずみ

 

この文書を送ったあとも夫から、

「本当に高次脳機能障害のことを言わなきゃいけなかったのかな?」

「このまま言わなかったら、性格悪いって思われたままだと思うよ。それを許してくれって言うわけじゃないけど、努力することも含めて知ってもらった方がいいんだって」

「俺、サッカーができなくならないかな。チームのみんなが俺と距離をとるんじゃ ……」

送った後もそんなやりとりが続いた。