北海道に講演に行った時にちょうど建設中だったウポポイ(民族共生象徴空間)がオープンしました。ウポポイはアイヌの歴史・文化を学び伝えるナショナルセンターです。

「オープンしたら絶対来るぞ!」と心に決めて北海道を後にしましたので、新型コロナウイルス感染症の様子をうかがいながら、ウポポイ行きを計画してみようと思います。みなさんもぜひ行ってみてください。きっと心がほっこりしますよ。 

Nobody’sPerfect

カナダでは、「予防に1ドルをかけ惜しめば、7ドルの付けが回る」という試算のもとに、子育て支援においてさまざまな先進的な取り組みが行われてきました。その中に親教育支援プログラム「Nobody’s Perfect(完璧な親なんかいない!)」があります。

このプログラムは、〇〜五歳の子どもの親がグループの中で互いの体験や不安を話し合うことによって、子育てのスキルを高め、自信を取り戻していくもので、ファシリテーターと呼ばれる人が進行していきます。

私たちは子どもが生まれた時点で初めて親になります。ですから、初心者マークをつけた親が未熟な子どもを育てていくことになるわけです。

子どもが泣いていたら親が悪いのではないか、子どもが何か間違ったことをしたら育て方が悪かったのではないかなどと、親は自分を責めてしまうことが多々あります。でもね、最初からうまくいくはずはないし、子育てに正解はないのです。なぜなら、親も子どもも一人ひとり違うから、正解も千差万別。

このような子育ての体験や不安を分かち合うことによって、「あ〜、不安なのは私だけじゃないんだ〜」とか、「そういうやり方や考え方があるんだ〜」と気づいて気持ちがラクになり、親としての自信を取り戻して笑顔で子育てをすることで、子どもが安心して育っていけるようになるのです。完璧な親なんていません。ほどほどの親、ほどほどの子育てでいいのです。

イギリスの精神分析家・小児科医のウィニコットの言葉に、「ほど良い母親(Good enough mother)」というのがあります。赤ちゃんは、自分ではない母親という存在が時に失敗することで、欲求不満を体験し万能感を手放すことができることによって、自分自身もほど良く育っていくという考え方です。つまり、完璧ではないということが大切なのですね。

【前回の記事を読む】児童養護施設「光の子どもの家」の施設長の菅原哲男さんの講演を聞いて心に残った言葉「隣(とな)る人」

 

【イチオシ記事】治療で言葉がうまく出てこない夫。彼が今どう思っているのかを知りたくて…

【注目記事】カプセルホテルで産まれた命。泣き声を止めようと、その喉に…。