「まぁ兎に角、俺達三人はいつも通り記憶を吸い戻ったカーを檻に入れる作業をしていたんだが、ある日、数匹のカーを外に逃がしてしまい牢屋に入れられたんだ。

そこで何日も飲食を与えられず死にそうになっていたところを、ゼノと言う男が現れ助けてくれたんだ。

ゼノは俺達に食べ物を与え牢屋から逃がし、頭の中にある主の記憶の種を抜いてくれたんだ。主の記憶がなくなり、俺達は久しぶりに自由を感じたよ。

そして、そのゼノが教えてくれたんだが、俺達は元々、『記憶人』と呼ばれる者らしく、自らの意志で記憶を入れたと言うんだ。

だから俺達はバーを抜かれず、感情が残っていたんだと分かったんだが、何らかの理由で太陽の国で、ミスラに零の刻印を押され、主の記憶を入れられ以前の記憶をなくしたようだ。

そしてゼノはラムカの画像記憶を俺達に見せ、助けた代わりに、東の雲海へ進み青いオーラを纏った空の民の少女を捜し出し、自分達の主にして記憶の森を目指すようにと頼まれたのさ。

俺達は、久しぶりに味わった自由な解放感を感じ、やるかどうか迷っていると、ゼノは主の記憶の種は自分で抜かない限り、抜けないらしく、いずれまた主は必要になるだろうって言ったんだ。

零の刻印がある限り主が居なければ零族狩りに遭い、ここへ戻る事になるだろうと……。

だから俺達は、君を捜したんだ。もう、あんな所には二度と戻りたくはないからな……」

カイゼルは全て真実を包み隠さずにラムカに話した。

ラムカは、なぜ自分が記憶の森へ行かなければならないのか分からなかった。自分が空の民と言うのが事実なのかさえ分からないが、トミ婆さんの島に来た時にエイに乗っていた話を思い出した。聞きなれない言語の唄をどうして自分が歌えたのか分からなかった。

大幻透視師の話では、そこへ進む事で自分が何者なのかが分かると言っていたようだった。

ラムカは、幼い頃の記憶がなく、確かに自分が何者で何処から来たのか、親や家族の事、何をする為に生まれて来たのか、全てを思い出したかった。

ラムカはそう思うと、やる価値はあると感じてくる。

カイゼル達も人間だった頃の記憶を取り戻し、二度と零族にはならない、なりたくないと思い、自分を取り戻したいと思うようになっていた。

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