「よーし。それでは出発じゃ」ニャー。

「ん? 返事しおったかの」ニャー。

「頭脳明晰じゃの」ニャー。

我輩はクマ君を抱っこしながらドアを開けて、いったん下ろす。チャリンコを利用しながら歩かんと、散歩が成立しないのじゃ。チャリンコのハンドルを右手で掴み、上半身を少し預ける。左手で赤いリードを引っ張りながら歩く。クマ君は、今のところ、すたすたと、意外とビビらずについてくる。ちょくちょく様子を確認しながらでないと、何らかの異変を悟る用意が必要じゃからの。

「怖くないかのう?」ニャー。

「そうか。怖くないか。お主も大変な人生を背負っておるのう。辛くとも、ともに歩んでいこうの」ニャー。

「ニャーしか言えんのよのう。仕方ないか。猫がこれ以上喋ったら、腹立たしくなるかもしれん」

クマ君との散歩は楽しくて楽しくて、生きがいにカウントされるようになったのじゃ。じゃが、猫、それも黒猫のクマ君じゃが、我輩もちと変わった者なので、散歩してる猫なんぞ、他に見ることすらありえない状況じゃのう。ワンちゃんの散歩も少しは減ったようで、今ではニャンちゃんの人気がワンちゃんより増したと耳にしておるのじゃ。

我輩はワンちゃんでもニャンちゃんでもOKじゃが、他人様に尻尾をふりふりしながら媚を売ってくるワンちゃん、マイペースでもおっとりしてるニャンちゃん。双方ともめんこいからのう。どちらとも比較できない、人間様の宝じゃからの。虐待などしてはいかんのじゃ。

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