これも一つの選択肢なのだろう。

多くの女性がそのような諦観で生きているのかもしれない。いや、諦めではなく〝人生ってこんなもの〟という達観に近いものなのか。

会い始めた頃は多少の仕事は後回しにするなど調整してでもデートを優先するのだが、付き合いに慣れてくると新鮮味が無くなり、会うことの優先順位が落ちてくる。

これは仕方の無いことなのだろう。新しい刺激が無いとドーパミンは得られないのだ。

別の異性に興味が湧いてくる丁度そんな頃合いに誘いや誘惑があると、そちらの方が魅力的に見えてくるものだ。これもヒトの生存戦略なのだ。

秀司は女性の心変わりによる失恋を若い頃に味わっており、相手が自分をどのように位置付けているのか敏感に察知する方だと思っている。

奈保子に他の男がいる様子は無かったが、秀司とのデートの優先順位が低くなり、仕事や家庭の用事の方が大切に思えてきたようだった。

だが特に激しい恋心を抱いたわけでもなく、二人とも家族がありそれぞれの家庭に影響を及ぼすことなど考えもしなかったので、特に違和感無く逢う頻度も少なくなり、そんな場合は自然消滅するのが流れなのだろう。

お互いに未練を残すこともなく、プロジェクトの終了と共に二人の関係も終わったのだった。

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次回更新は8月21日(水)、20時の予定です。

 

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