マティラビーチという場所には小さなお部屋が浅い海の上に建てられていて、旅行に来ていた人たちが見えた。海の上に浮かぶコテージのようなところなの。私は空いている一つのお部屋に入ってみたの。

そこにはゆったりとフワフワのベッドがあって、床には透明なガラスがあったの。その透明なガラス、何するものだと思う? そこから海が見えるのよ。ちょっと私が覗いて見ていたら、小さな魚が横切ったわ。

そうしてくるりと反転して、魚のうろこがキラキラと光ったの。(わあ、きれいなお魚さん)そうして、私はそのベッドにちょこんと座ってみたりして少しの時間を過ごしたわ。

ココナッツミルクがかけられたチョコレートとか、お花で飾られたデザートアイスクリームが出てきてくれたら最高だったわね。きっと美味しいわ。それを食べる想像をしたら、お口の中がとろけてしまいそう。

お昼寝をしたあとには、そのお部屋からすぐに出られる階段があるから、そこから海に潜ってみたの。また金魚よりも色がたくさんついている魚たちを見たわ。ここの海を泳ぐお魚の色はすごく鮮やかね。

そばにはその島の海岸があるから、私は一人だったけど、頑張って浮き輪と一緒に泳いでみたの。海岸に到着したら、冒険したみたいな気分。

私はその島のお土産に白い砂をひとつかみ、持って行ったの。とってもきれいなサラサラの砂。手のひらの上で海の水でゆらゆらとすると、白い砂がキラキラ光って美しかったな。

私は帰ってから、それをテーブルにそっと置いてから眠ったの。 その日に見た夢はね、連れて行ってくれたウミガメさん。私はウミガメさんと海の中にいるの。でも突然に、遠くからサメがやってきて、私はウミガメさんの背中をギュっと強く握って目をつぶってしまったんだ。

恐る恐る目を開けたら、そこにさっきのサメがいて、にっこり私に笑うのよ。「僕は決して怖くないよ」と言って、またゆっくり離れていくっていう夢。怖いようで怖くなかった夢。

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私はおばあちゃんの手を握って聞いていた。

いつのまにか、誰に言われるでもなく、そうしていた。おばあちゃんの方を見ると、藤井奈々子さんの方をゆったりと見ていた。

(おばあちゃん……)私は声を掛けようと思ったのだが、それをやめた。

それはおばあちゃんの表情が嬉しそうにしているのか悲しそうにしているのか、見分けがつかなかったから。

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次回更新は8月14日(水)、11時の予定です。

 

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