年からして高校生、アゲハさんとは対照的にきっちりした学生服に前髪は鼻の所まで伸びきっていて、その上にオタクっぽいメガネ。両耳にイヤホンをしていた彼はこのためだけ片耳を外し、パソコン画面から視界を外して俺に向き直った。
その時間は約3秒くらいだ。これはこれで先程の不良娘(アゲハさん)よりも声をかけづらい……。
「で、こっちのサラリーマンみたいな恰好してるのが平松さん。優しいがPCに関しちゃ、天才の領域だ」
「平松です。よろしくね、レッカ君。いやー、思っていたよりずっと若くて、驚いてます」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
整った黒髪で下ろす程前髪が無いのか、それともワックスか何かで固めているのか、とにかく絵に描いたような黒いスーツを着込んだサラリーマン。自前のハンカチで顔をぬぐう仕草と特徴的な笑顔が目立つ青年であった。
「最後は……って、いるか紹介? ぶっちゃけ、クラスメイトならオレらより詳しいんじゃないか?」
「えー、いや、別にそういうわけでも……」
彼は気を遣ってくれたが、実は公に一対一で彼女と交流したことがあまりない程に、仲はそう良くない。
「知ってるでしょ? 私の自己紹介はパスで」
「……そうだな、そうしよっか?」
院さんの言葉で今の日下部さんとの親密度を測るが、どうも確かではないようだ。俺とどっこいどっこいだな。
「……じゃあ、最後。前にも言ったが、オレの名前は衆院ソル。ここのチーム、クラシオンのリーダーだ。改めてよろしくな、レッカ」
最後にトリを飾るには、申し分のない元気の良さで、手を差し伸べてくれた彼だった。差し伸べてきた手をとり、再度互いに握手を交わす。
「はい、よろしくお願いします。……って、えっと」
俺はこの時になってようやく疑問を持った。
「うん? どうした?」
「何か、俺、すごい自然にここに加入するみたいな感じじゃありません?」
「……かなり、そんな感じだが?」
困惑する俺に対し違和感をも感じさせない院さん。
「え? ちょ、困りますよ!? ちょっと待ってください!」
確かに助けてもらったことには感謝したいが、いきなり問答無用で強引に「仲間」とあってはこちらも反論の余地がある。
【前回の記事を読む】2度目の憑依生命体との戦いは気絶して終わりしょげる俺。そんな状態のなか突然仲間を紹介されてそれぞれの目線が一気に自分へと集まり…