それからもお金が欲しいと言うので小額ずつ渡しているが、相変わらず毎日のように捜し回っている。することないから暇潰しにさせとけと夫は言う。思わず笑ってしまった。

私の一日はおむつ捜し、下着その他の衣類、タオル捜しに始まる。着ていた物をあちこちに突っ込むからだ。おむつや下着がゴミ箱に捨ててあったり、トイレに突っ込んであったりするので、油断ならない。

生活習慣の違いで、以前は目をつむっていたことも、私が世話している以上放ってはおけない。おむつに「そと」と赤いマジックで書くのも忘れてはならないことだ。外側のビニール面を当てて「気色悪い、こんなおむつせえへん」と駄々をこねることが度々あったので。

しかし、最近外すことが多くなった。ひと月に一回の検診もクリアし、胃は二ヶ月に一回、整形外科も三ヶ月後の十二月の診察となる。退院二ヶ月目にしてついに煙草に手を出す。ベッドの下にあるのを掃除の時発見。

せっかく止めたのにまた始めるの?と言うと、拾ったと言う。それから何度か拾ったと言っては持っている。

八十六にもなって今更止めなくてもとは思うのだが、吸い方に問題がある。手に持ったまま家の中を歩き回り、絶対に灰皿は使わない。

あちこちに吸いかけを置き、テレビは溶け家具は焦げ、布団、網戸、畳、床は穴だらけ。危険このうえない。

長年店で吸っていた癖が抜けきれないのだろうが。二ヶ月の入院でやっとこの恐怖から解放され、やれやれと思っていた矢先のこれである。

せめて灰皿さえ使ってくれたらと思うのだが。今日はついに煙草を吸いながら家の中をうろうろしているのに出くわした。一応注意して渡してもらう。今後どうしたら良いのだろう。

【前回の記事を読む】姑と私は交わることのない線路のようなものだ。八十六年の生き方を変えぬ姑と五十九年の生き方を変えぬ私

次回更新は7月28日(日)、14時の予定です。

 

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