第一章 嫁姑奮戦記

姑はとうとう煙草を吸い出した。商売以外何も興味も趣味もないし、唯一好きな買物も出来ない昨今、さぞかし空しく退屈な毎日だろうと思う。

そのうえ、コーヒーやお茶も嗜まない。煙草代わりにとお菓子を出しても物足らない様子だった。隠れて吸われては危ないので、灰皿の前で吸ってねと言うと、「うち、もうどこぞ行って死ぬわ」と言う。「吸ってもいいって言ってるのに何で?」と言うと、「うちもうこんなして生きてるの嫌になった。どこぞ行って死ぬ」と再び言う。

「そんなこと言わんといてよ。今までなんのため頑張ってきたの。そんな死にたいような辛い目に遭わせた?」

姑にとって自分の思うようにならない生活は、死ぬほど辛いのだろう。気持ちは分かるが、今の状態ではとても無理だ。

物忘れ理解力の低下は更にひどくなってきている。テレビも見てはいるが、ほとんど理解していない。

毎日財布か何かを捜し物をしている。日課のようなものだ。おかげでタンスも押し入れもひっくり返っている。

私は汚れ物を捜すだけだ。以前のようにうるさく言わない。無理なのだ。一緒にテレビを見ながらお喋りをしたり、おやつを食べ、食事をする。

そんな中、こんなエピソードもある。