神速。
まさしくそんな言葉がふさわしいような勢いで、イビルゴーレムは大剣を横に振ると、防壁魔法の膜におもいっきり叩きつけた。
「くっ!? あ、あぅぅあぁっ!?」
先程までの攻撃とは比べものにならない衝撃が、院長の全身を襲う。
「くぅぅぅ・・・・・は、はぁ・・・・はぁ・・・・あぁ。」
それでも彼女は倒れない。
自分の背後にいる子供達を守るため、最後まで足掻き続けることを選んだ。
「ま・・・まだです・・・・私は・・・・・頑張れます・・・・・。」
しかし、運命は非情。
その決意を無駄だと言わんばかりに、さらなる絶望を振り翳していく。
プシュー
プシュー
プシュー
プシュー
プシュー
一体が大剣を出すと、それに伴い連鎖するかのように、一体・・・・・・また一体と・・・・・・蒸気音を吹き出し次々に大剣を出していく。
「そ・・・・・・・そんな・・・・・・い、いや・・・・。」
院長の心が折れかける。
「や・・やめて・・お願い・・・・やめてください・・・・・。」
イビルゴーレム軍団は大剣を振りかぶると・・・・・・・。
一斉に、同じ瞬間、同じ動作で・・・・・・・神速の動きをもって、防壁魔法の膜に叩きつけた。
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