王国(町の孤児院)
「ま、まだ・・・まだです・・・・ここは・・・・・絶対に・・・・・私が、守るんだからっ!」
歯を食いしばり、必死に両手を前に突き出しながら、院長は叫んだ。
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・」
イビルゴーレム軍団は各々の武器を振り回すが、孤児院には傷ひとつ付けることができない。
それもそのはず・・・・・・孤児院全体を覆うようにして、薄い光の膜が張っていたからだ。
「く・・・うぅ・・・・・が、頑張るんですっ!」
防壁魔法。
魔力持ちであった院長は、たったひとつだけ、この魔法を扱うことができた。
シンのような特化型の才能の持ち主だったのか・・・・・・彼女の使う防壁魔法は、強固な耐久力を誇っていた。
「お、姉ちゃん・・・・・。」
怯えているような・・・・心配しているような・・・・そんな口調で、背後にいたルナが声をかける。
「だ・・・・大丈夫ですから・・・・わ・・・・・・私が・・・・・皆んなを絶対に・・・・・・・守りますから・・・・・・。」
(だから・・・・だから・・・・・。)
心の中で呟くように、院長は祈りを捧げた。
(シン様・・・・ユウ様・・・・どうか私に力を・・・・。)
防壁魔法の輝きが増していく。
「負けてたまるもんですかっ!」
体中の魔力という魔力を込めて、彼女は防壁魔法の耐久力をさらに上げた。
「・・・・・・・・・」
すると、イビルゴーレム軍団の内の一体が、動きを止める。
「・・・・・?」
院長は不思議に思い、それを見ていると・・・・・。
プシュー
「・・・・えっ!?」
次の瞬間。
彼女の表情は驚愕の色に染まった。
「・・・・・・・・・」
イビルゴーレムは蒸気音のようなものを上げた後、身の丈以上の大剣を体から取り出し、それを片手で軽々と持ち上げた。
ブォンッ