生きた君は
私の耳を引きちぎる

どうして死んじゃダメなの?

君が死んだら悲しいから。

何それ、自分勝手。

自分勝手だよ。死にたいという気持ちと同じ。みんな自分のためにしか生きられないんだよ。そうやって救われあってる。救いあってるんじゃないよ。

でも私は一向に救われない。

 

ああ。生まれてこなければよかった。どうして、

死にたくならないようにだよ。みんな、死なないような選択をしてる。

私のお母さんは、死にたいなんて気持ちわからないよ。

そういう選択をしてきたんだよ。君が生きるために死にたいと強く思うのと同じ。君を生んだことも全部、生きるため。みんな命の被害者なんだよ。

 

次の日、君は死んでしまった。

同じ心を持っていると思っていたから、裏切られた気分だった。

と、最後の手紙に書いてあった。

もし私が君なら、私の言葉に納得するだろう。

それなのに、君は死んでしまった。

同じ心を持っていると思っていたのに。

私だってその痛みを知っているのに。

私だって——

そうか。

私はもう、君ではなかったのか。

 

君の心だった頃、

自分がどれだけ死にたいかを必死に訴えていた。

理解を求めてではなく、謝って欲しいと、罪を償って欲しいという怒りだった。

こんなに死にたいんだと、被害を必死に訴えていた。

今はどうだろう。

君の心だった頃の三行を何度も書き換えようとしている。

こんな言葉は並べてはいけない、と。