ラストシンフォニー(最後の交響曲)

平成十六年NHKテレビの『NHK音楽祭』で、「最後の交響曲 ラストシンフォニー」 というテーマの番組が数回に亘って放映された。残念ながら私は、その一回だけしか視聴することができなかったが、各国の著名な指揮者が各自のオーケストラを率いて、数名の作曲家の最後の交響曲をN響ホールで演奏するというものだった。

私が視聴したのは確か第二回に放映されたもので、音楽評論家、黒田恭一氏の解説に、NHKの森田美由紀アナウンサーが聞き役で、様々な角度から歴代の大作曲家が自分のラストシンフォニーをどのような心境で書き上げたかについて語られていた。

その日は初めにネルロ・サンティの指揮で、NHK交響楽団がブラームス最後の交響曲、第四番ホ短調作品98を演奏。続いて、ロリン・マゼールの指揮で、ニューヨークフィルハーモニックがドヴォルザーク最後の交響曲、第九番ホ短調作品95『新世界より』を演奏。

最後にヤコフ・クライツベルク指揮するウイーン交響楽団が、シューベルト最後の交響曲、第八番ハ長調D944を演奏し、各々の作曲家にとってラストシンフォニーとはどのような意味を持つものなのかを、その場の聴衆とテレビの視聴者に問いかけるものであった。

次回の放映予定が、チャイコフスキー最後の交響曲、第六番ロ短調作品74『悲愴』とベートーヴェン最後の交響曲、第九番ニ短調作品125『合唱つき』であったが、残念ながら視聴し損なった。番組の中では確かに次回の予告をしていたのだが、多忙に紛れ失念してしまった。

このように視聴を逸した場合でもNHKでは一切ビデオの貸し出しはしてくれない。自分でVTRを録って貰うより仕方がないという冷たい返事だった。

当方としては、放映日を失念してしまったのだから、VTRを録れる筈もなかったのである。尤も、幾多の視聴者にレンタルビデオ店のようにいちいちビデオを貸し出していたのでは、NHKもたまったものではないだろう。

さて、これから述べるラストシンフォニーの様々な話題であるが、先ず前述のドヴォルザークの『新世界より』などは、嘗ては第五番として演奏されていたものである。

それがいつの間にか第九番となって、最後の交響曲として取り扱われるようになったのである。それは、世界の多くの音楽研究家が、後日発見した様々な研究資料により、新しい事実が生まれるからである。現に前記シューベルトの場合も同じことが言えるが、彼の場合はもっと複雑であるので、そのことについては後で述べる。

従来、私達の年代での認識は、彼が作曲した最後の交響曲は、第八番ロ短調『未完成』だったのである。然もこの曲は、普通の交響曲では第4楽章まであるのが、第2楽章までしか書かれていないので、何故途中で止めたのか、寧ろそれが謎となっていたのである。

噂によれば、書きかけのまま発疹チフスで亡くなったのではないか、とまで言われたものである。悪い人は、長い間風呂に入らないため虱がわいて、チフスに罹って死んだのだと言う始末である。

ところが、このシューベルトという人は、未完の帝王と言っていいくらいシンフォニーはもとより、ピアノ曲に於いても大変未完が多く、スケッチだけとか断片だけで放っておくという癖があったため、後日の音楽史家を大いに悩ます結果になるのである。

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