運命の出会い
玲子は右手にワイングラスを持って立ちあがり、ベランダの前の手すりに体をもたれかける。
圭も地ビールの瓶を手に持って立ち上がり、その横に立つ。
玲子が圭の腰に手を回し、とても幸せそうに自分の頭を圭の肩の上に傾ける。
「圭とこうしていると、私、とても幸せ。圭に会えたこと、神様に感謝しなくちゃ」
圭が自分の気持ちを素直に話す。
「俺は初めて玲子を見た時から、毎日玲子のことをずっと考えていたよ。俺がこれほど好きになった女性は玲子しかいない。大好きだよ」
圭は玲子を優しく抱き寄せてキスをし、夜空に綺麗な花火が上がっていく中、二人はずっとそこで抱き合っていた。
花火大会が終わり、あたり一帯に静けさが戻ってくる。玲子はなぜか寂しそうな目をして一人リビングに戻り、ソファーに座る。玲子は急に黙り込み、何か心がここにないかのようにも見える。
それを見て、圭がつぶやくように話す。
「だけど玲子は時々ぼんやりと遠くを見て、何かを考えこんでいるように見えることがあるよ。そんな玲子を見ていると、俺の腕の中から、突然消えてなくなるかもしれないと心配になってしまうんだ」
玲子の目が一瞬冷たくキラリと光る。
「私、とても悪い女で、本当に圭の前から消えてなくなるかもしれないわよ」
玲子は突然立ち上がり、圭の頬に軽くキスをする。