運命の出会い

二人がジムに着くと圭は受付で会員証を見せ、ビジター欄に玲子の名前を書いてロッカールームに入っていく。

ロッカールームを出てきた二人は、まずランニングマシンに乗って走り始める。圭は軽やかに走っているが、玲子は走り出して五分もすると、上下グレーのトレーニングウェアが汗ばみ、額から汗が噴き出してくる。

横のマシンで走っていた圭は、その様子を見て自分のマシンを降り、玲子のマシンのスピードを調整してやる。

「ちょっと汗をかきすぎているよ。昨日はお酒を飲み過ぎたのかな。これの上を走る時は、自分の体調に合わせて速度を調整するのが大切だ。まだウォームアップだから、話をしながら走れる速度に落とすといいよ」

二人は二十分ほどでランニングを終え、タオルで額の汗を拭きとり、スポーツドリンクで水分を補給する。

次に二人は床に足を広げてストレッチを始める。圭は男にしては体が柔軟だが、玲子はとても体が柔らかく、気持ち良さそうに足を全開にして上体を倒し、胸までピタッと床に着けてストレッチをしている。

玲子が「見ていて」と言って立ち上がり、片足を頭の上に上げてY字バランスをする。玲子はその足をそのまま後ろに持っていき、上半身を大きく反らせ、バランスを保ちながら一本足で立つ。

「私、小さい頃にクラシックバレエを習っていたから、体は柔らかいのよ」