玲子はそう言ってその場でバレエのピルエットを見せ、クルクルと数回素早く回転した後、バレエダンサーのように優雅に手を広げるポーズをとる。圭は感心顔で見ている。

「なかなか上手に踊るね。じゃあ、次は筋トレの部屋だ」

二人は筋トレのマシンがいろいろ置いてある部屋の中に入っていく。圭は上半身裸になって、大きく傾けたクランチベンチの上端に足首を引っかけ、黙々と腹筋を始める。玲子は腹筋をしている圭のお腹に触る。

「圭のお腹、シックスパックね」

圭が腹筋運動を続けていると、玲子が軽いバーベルを持ち上げて上腕を鍛え始める。圭がそれを見て玲子のところまで行き、それを取り上げる。

「玲子、バーベルを使った筋トレは必要ないよ。必要のない筋肉が付くだけだ。サーフィンは全身運動だから、それだけで必要な筋肉はすべて自然につく。上腕の筋力強化はボードを漕ぐパドリングだけで十分だよ。

それよりサーフィンには体幹を鍛えることが大切だ。玲子はクラシックバレエをやっていたようだから、これから俺が教える体幹トレーニングをすれば、体幹が鍛えられるよ」

圭はフロアに立ち、重量の負荷をかけないスクワットから始め、玲子に一連の体幹トレーニングのやり方を教えていく。圭の体幹を鍛えるトレーニングは簡単そうだが、やり出すと結構体にこたえる。それでも玲子は体幹トレーニングを一緒にこなしていった。