今ここでこういう事業者に出遭えたということは、このご縁がたとえ成就しなくても、私は悔いの残ることはないとしみじみと思いました。

そして幸いなことに、日ならずしてこの事業所とは御縁が成立いたしました。

お願い、やめて!実況中継

「お願い、相撲や野球の実況中継ではないのだから、数字を一つ一つ読み上げるのはやめて」

思わず堪忍袋の緒が切れてしまったのです。サチュレーション(血中の酸素と結合したヘモグロビンの量)を見ながら、大声で枕頭で数字を読み上げているヘルパーさんに、私は叫んでしまいました。

しかし他のヘルパーさんの手前もあるので慌てて取り繕いました。

「こらあッ、いつからあなたはヘルパーさんから相撲や野球の実況放送係に転職したの」と笑いながら、言いました。

いつもは六十台で安定している夫の拍動がこの一日、二日、三十台位からだんだんに上がり七十台、時とすると八十台、九十台になるまでかなりの時間をかけて変動するようになっているのです。

今までそのようなことはなかったので(いよいよだんだん心臓の筋肉も弱まってきたのでは・・・)と私はサチュレーションを指に押し込む時、一瞬緊張をして息を飲むのです。

実はこのところ私たち家族は、このサチュレーションの数値が信じられないのです。いや信じたくないと自身で心にバリアを張っているのかもしれません。

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次回更新は7月16日、11時の予定です。

 

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