精神的に不安定な日々が続き、眠れなくなった。不眠だとますますイライラするのでどうにかしなくてはとハーブティーや、アロマに関する情報を収集し、いろいろ試してとにかく眠ろうとした。
身体が固まって痛いので、スーパーの横にあるマッサージ店に寄ってみた。その店のスタッフは、しずかの身体を触ってすぐに、これは相当精神が参っていますねと言う。
若干スピリチュアルな雰囲気の漂う若い男性はゆっくり肩甲骨をほぐしながら、「毎日少しでいいのでストレッチをするといいですよ。血行が悪いと気が滞りますから」と言う。そうかもしれない。
疲れていた。ほんとうに疲れていた。心の疲れはマッサージでは治らない。
ブルーな気持ちのまま近所の魚屋さんで鯵を買った。レジでもたもたしていたら、レジ打ちの女性が「ちっ」と舌打ちをした。接客をするものとして信じられなかった。思わずその茶髪をひとつにしばった女の顔を見て、次にネームプレートの名前を記憶した。
(キタオカか……)
クレームを入れようとしてふと我に返る。それでは自分にふりかかったクレーマーの客と一緒ではないか。情けなくなり、思い直してレジに向かってありがとうと言って帰った。
【前回の記事を読む】「子どもたちが口をきかないのは私のせいだったの?」札幌一人旅から帰ってきて気付いたこと
次回更新は6月30日(日)、21時の予定です。