お嬢様の崩壊

自分が東京の主婦で夫と子供たちを置いてこんなところにいるのが嘘のようだった。と思ったら急に現実に戻り、明日の朝の飛行機で家に帰るのだと思い出し、急いでシャワーを浴びてベッドにもぐり込むとぐっすり眠った。

翌朝、ホテルで朝食をとらずにチェックアウトすると空港に向かった。会社と家にお土産を買いたかったので、新千歳空港内のお土産売り場をうろうろと歩き回り、会社で配る生キャラメルと家にはレトルトのスープカレーや人気のお菓子を買った。

そして朝から営業しているお寿司屋さんで一番小さなサイズの海鮮丼を食べた。そろそろ時間かなとチェックインカウンターに行くと長蛇の列。ゆっくりしすぎて時間ぎりぎりになってしまったがなんとか飛行機に乗る。

機内はマサキファンの女性でいっぱいだった。自分も昨日のテンションをそのままにイヤホンで彼の曲を聴きながら目をつぶった。

しばらくうとうとして、もうすぐ羽田空港に着くと思ったら、急に家のことや夫のことが思い出されて、また足元がすーっと抜ける感覚に襲われ、お腹が逆流し始めた。

(うわ、どうしよう)と思ったら、もう着陸態勢に入り、シートベルト着用のランプが点く。機体が高度を下げるたびに顔が青くなるのを感じながら長い時間を過ごした。空港で海鮮丼を食べたことを深く後悔した。