お嬢様の崩壊

DVDで観たのと違って、周りの音がうるさい。キャーキャー叫ぶ声がすごい。そして音が割れて響くので、思ったより聞こえにくい。球場は音楽のための施設ではないから音響はよくないのだ。

曲に合わせてみんなが飛び跳ねるので床が揺れる。あらかじめ首から下げていた双眼鏡で彼をとらえようとすると、床が揺れるのでぶれてしまってなかなかピントが合わない。オロオロしながらも、どんどん曲が流れていく。

気がつくと前半は終了して、トークの時間になった。

「札幌の皆さん、会いたかったよ」なんて始まり、昨日の夜は美味しいお寿司を食べたとか、今朝は寒くてびっくりしたとか、日常の会話を友達みたいに話してくれて何か嬉しい。急に身近になったような気がしてしまうのだった。

後半も彼の持ち歌だけでなく、古いポップスやジャズの曲なども歌ったり踊ったりして、あっというまに最後の曲になり、コンサートのラストにいつも歌うデビュー曲。

曲の間に、ファンの子たちが追いかけるように声をかけ、ペンライトを高く上げる。コール&レスポンスというらしい。

彼は終始笑っていた。キラキラした笑顔でみんなに手を振ってくれる。心から嬉しかった。最後の曲が終わり惜しまれながら舞台が下がって消えていった。