やっと、ぎゅっと音をさせて飛行機の車輪が地面に着くと脂汗が流れた。「只今、駐機場が混雑しておりますので、しばらくこのままお待ちください」というアナウンスにまた冷や汗が出る。

なんとか持ちこたえて飛行機の外に出るとすぐにトイレに飛び込んで、しばらく動けなかった。このままずっとトイレの中に隠れていたい気持ちになった。

やっと外に出るともうすでに荷物が回っていて人も少なくなっていた。何周目かで自分の旅行かばんを見つけると、ゆっくりと重い足取りで家に向かった。

モノレールに乗って外の景色がだんだん都会に近づき、東京タワーが見えた途端、(あー帰ってきた)という安心と憂鬱とが入り混じった気持ちでまたお腹が痛くなった。

自宅の最寄り駅に着くと、札幌でのキラキラした気分とは裏腹にどんよりと重い気分で団地に向かって歩いた。エレベーターを降りて我が家に帰ると溜息をついて、そしてゆっくりと主婦の自分に戻っていった。

家に入ると、むっと嫌な臭いがする。洗濯物の生乾きの臭い……部屋干ししたパジャマがクチャクチャのままで干してあるので乾いていないのだ。柔軟剤は使っていないようだ。