歴史的に日本の「近代的なモノづくりの先輩」である欧米諸国での「マニュアル整備」文化を倣う傾向も止まらないが、マニュアル偏重になり、マニュアル通りやれば良い品質と約束通りの納期で競争力のあるコストでモノができるか……というとそうではない。
確かに、基本としての製造基準、作業標準、検査要領等のベースは必要不可欠。しかし、あまりにサービスしすぎると、「マニュアル通り」に作業・仕事をすることが目的となって本来の「モノづくりメーカー」としての目的、目標を忘れてしまいそう。想定外事象への対応力が弱くなる。考える、判断する、決断するという行動を確保したい。
また、モノづくりには、変化が付きもので「5M1E(人、機械、材料、方法、測定、環境)」のそれぞれで意志を持った変更があるし、意図を持たない変化、変更に伴う変化もある。これらに対応できる応用力がモノづくり現場には必要。
作業標準書のレベルアップを狙って、社内コンテストを仕かけて「単なる手順書」から、注意点、その理由、やらないと何が起こるのか、さらに加えてそれぞれの作業時間の標準値を示して、という改良を企てたが、指導側の自己満足でもあった。
変化への応用ができるような「体験学習」「訓練」が必要だと、モノづくり経験の後半に気が付いたが、遅かった。
始業時から終業まで連続してモノづくり・作業に没頭している日本の作業員の仲間は、何も考えずに作業だけをしているとか、よそごとを考えながら作業している人は少なくて、単純な作業の繰り返しの中でも何かしらの傾向を、変化を感じ取ったりいつもと違うことに気づいたり……考えて仕事をすることを真面目にできる。