父の碑を建立

貧乏人は生きている人ばかりではない。死んでも貧乏人はいたのだ。普通の人は火葬されて石の墓に納められていた。私の兄弟四人は土葬で、地上には木製の墓。木製だから腐蝕して倒れ、場所が不明になるため、漬物石のような大きな石を見つけてきて、墓石代わりに置いていた。墓まで貧乏人なのだ。

その石に水をかけ、その前に線香を上げて、手を合わしていたのです。お盆の墓参りの前に、墓の周りの草刈りと掃除を済ませていた。お花も供物の野菜も自家製である。

父は墓の購入に丁度のお金を残していたため、北海道の霊園に、平瀬家の墓を建立した。三十年後に北海道へ戻って、一軒家に落ち着いた。平成十二年、父親たちが眠る墓に外柵を回し、灯ろうも新調し併せて、父・平瀬良香の碑を建立した。

自分たちが住む家ばかりでなく、先祖が眠る墓にも目を向け、後世の繁栄を願ったのである。家をリフォームするように墓石に水をかけ、タワシで汚れを落とし、文字は墨を入れてハッキリと。指でなぞり先祖と触れあうことは、心が落ち着くものだ。

開拓時ノ無縁仏ノ供養ニ終生ヲ傾注ス

広域農村ノ仏事ノ功徳ニ徹シ……     

(部分表記)

浮き沈み三途の川のこの世です