しかし、それらの記録は読まないのか、全てを聞きなおした。当人から新たな真実を聞き出すと言う。しかし妻はしっかり話すことも厳しい状態。
私は整形外科の医師から自傷防止目的で介添えを許可されたが、説明内容の全てを信じてもらえた訳ではない。疑念を持たれている。これは本当につらかった。冷静に振り返れば医師の対応は正しいと思う。今振り返れば感謝しかない。
3 病室での生活
看護主任は妻のことで私が廊下で号泣した瞬間から優しくなった。多分、全ての看護師も同じように私に対して疑念を持っていたと思う。この日から私は病院関係者全員から受け入れられた感覚がした。主任に味方に付いて頂き、やはり心強くなった。
■2021年10月23日
朝は泣く時間。妻は小さな声で「出会った頃みたいに東や西にドライブしたい」と言った。私のタオルは涙でまた重くなった。コインランドリーは私の重いタオルを洗濯する戦友だ。
妻から身体の状態を知りたいと言われ、状態をスケッチして見せた。妻は絶句した。
「大丈夫だ。必ず治してあげる」
根拠なき言葉を発し、私自身心が痛んだ。
看護師は優しく頼もしかった。何よりもありがたかったのは動じないこと(この日から本当の闘いが始まることは、二人とも、知る由もなかった)。
【第三章】
1 入院時の報告
ここからは会社の社長に毎日送信した報告内容。この著書では読み易くするため、箇条書きに略してみた(時に出てくる「」書きは、その際に実際に送信したメッセージです)。
私自身が狂いそうな思いを制御するため、毎日勤務先の社長に送信。激務で疲労困憊の中でも、昼夜問わず社長は温かいメッセージを送って下さった。この記録は後に全てを振り返り介護の仕方を改善していくヒントになった。
【前回の記事を読む】「俺をおいて逝くな…」厚い扉の先にいた妻は無数の管に繋がれていた…。