【第三章】
2 自傷行為は保険適応外
■2021年10月26日
昨夜は10分おきに痛みが発生して、互いに睡眠をとれぬまま朝を迎えた。私は保険の内容を確認した。自傷行為による怪我は保険適応外らしい。精神的にも金銭的にも首に縄が食い込む感覚がした。
・来月請求される10月20日~末日の10日間の概算治療費は300万円。保険適応時は3分の1になる(ただし、個室日額5千円は除く金額)。
・健康保険組合が治療費に対応可否かを確認。保険組合では、自傷行為に関する治療費は保険適応外。精神的病気が要因かどうか精神科の医師にも確認してほしいと言われた。
精神科医師に伺うも、精神科通院歴なく正常な方の突発的自傷行為としか言えないとの判断。院内の相談室にも行ったが医師判断に従うしかないとの見解。
一方で、「やむなき事情がある場合は組合が斟酌し、極力救済すべきとの指針がある」と、ある方から学んだ。
組合側にその方から電話して頂いた。健康保険組合側より「保険詐欺行為ではなく精神的に追い込まれた主婦の突発的事故」と認められて対応頂くこととなった。
「関係者の皆様ありがとうございました」
3 人工腰椎挿入手術
■2021年10月27日
一昨日までの徹夜の介添えから前進し、24時から2時間熟睡できた。落下の衝撃で医師は肝臓の値を心配していたが、今は落ち着いた。昨夜MRIを撮った。
「一番上の腰椎は破裂骨折したため、背中側の脊髄に食い込み左脚は不随になった。金曜には腰椎を手術し、1カ月後に座れるか、歩けるかなどが決まってくる」と説明を受けた。
金曜日は朝8時から8時間手術予定。以下の説明を頂いた。
「破裂した腰椎を左横腹からかき出し、3センチほどのチタン製円柱型人工骨と入れ替える。6本のボルトを背中から腹側に差し込み周囲の骨に固定。全方向手術。臓器の密集部のため、成功率60パーセント。拒絶反応が発生すると全ては無になる。手術をする、しない含め全て自己責任」と何度も説明を受けた。
悩んでいる暇はない。同意書に署名した。明日は手術直前の準備に入る。来週からは術後の痛みと闘う。昼は医師と看護師が40人は出入りする。落ち着く暇もない。夜は妻に発生する幻覚と痛みとの闘いが果てしなく続いた。
■2021年10月28日
妻は腰と左脚が痛み、一晩中もがき続け朝を迎えた。疲弊し続けている。睡眠の重要性を改めて痛感。脚の痛みは鎮痛剤をも寄せつけず全く効かない。洗面器にお湯を入れ寝た状態で足先を温めてあげた。
効果はないに等しいが、妻が喜んでくれたことが救いだった。手術前説明として術前と術後はどうすべきかを、写真やイラストで学んだ。21時から睡眠薬が処方され、明日に備え睡眠をとらせる。明朝は麻酔に切り替えるため、概ね24時間眠らせることになる。
「無事に乗り切りたい」それだけを祈った。
私は妻が寝た後、院内のコインランドリーで洗濯した。病院内で期日前投票ができるということで、選挙管理委員の方が部屋を訪れて下さった。妻の意思に従い私が代筆した。いつの日か、一緒に歩いて選挙に行ってみたいと願った。