慣習によって分割されていた時間が、ある瞬間から一体化し始める。そして今、彼は、ぽっかりと穴が空いていたかのような空白の時間を取り戻そうとしている。

彼は今日も海を見に行っているようだ。彼にとって海とは何か?

それは回帰の終着点にある、つまり青春の原風景。彼は不登校の折、しばしば海を見に行っていたのだ。ここは奇遇にも、私の場合と重なる。回帰現象が起きることによって、青春のメロディが復活し、まるで永い眠りから覚めるように、懐かしい風景に私たちはいざなわれる。

回帰現象が起きる以前は、むしろ思い出したくない過去を連想させるものでしかなかったものが、第二の人生に突入すると同時に、かつてとまったく同様の空想を引き連れて返ってくる。ここにあるのは記憶というよりはむしろ感覚的な、つまり波長の符合。

チューニングが見事に嵌まった時にだけ起こる美しいハーモニーの連鎖。そう、彼も私も実は14歳から始まる自分探しに成功していたのだ。だがそのことがわかるまでに、信じられないほどの時間がかかったということなのである。

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