それは大陸を後ろ盾として周辺の島々を不沈戦艦や不沈空母として運用する方法である。従って守勢の戦術ともいえる。

空母の周りを戦艦や駆逐艦・潜水艦で囲んで空母戦闘任務群(CVBG)を編成し、柔軟に移動できる米国の空母運用思想とは異なって、空母の配備隻数は半数程度でまかなえることになる。

因みに著者の体験から、流氷観測や海域監視の任務などで、ロシア原子力潜水艦が配備されているオホーツク海の奥深くまで飛行する海上自衛隊哨戒機の搭乗員には、かなりの覚悟が必要であった。ロシア戦闘機のスクランブルを受けるからだ。

冷戦時代の、一九七六年九月六日、ソ連空軍ベレンコ中尉がMIG-25戦闘機で函館空港に強行着陸した。実は亡命目的であった。

そのためにソ連軍の奪還作戦に備えるために北海道四周の海上警戒監視飛行が実施された。この任務は特に覚悟を必要とした。

もしソ連戦闘機から撃墜されたり、ソ連領土への強制着陸を指示された場合の処置としてまず優先されたのは、極秘文書や暗号書などを機内において処分することであった。

平時においてもしも撃墜されてしまっても、ロシアは自衛隊機が領空侵犯して警告を無視したから撃墜したと公表するかもしれない。また墜落がロシアによる攻撃であったことが確認されなかったら、操縦ミスか機器故障で片付けられることも可能性として考えられる。

さらに、その危険性は民間機にも及ぶかもしれない。民間機は安全のために民間機であることを示す識別信号を飛行中常に発信していて、戦闘機などと間違えられることはないのであるが。その例として一九八三年九月一日に生起した大韓航空機撃墜事件がある。

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