半年くらい前に出血があったが、気にしなかった。

更年期に差しかかったかな、くらいに。健康診断で、精密検査を受けるように言われ、結果、子宮がんと診断された。

孝介は狼狽し、頭が混乱した。

 

「大丈夫なのか、こんなに激しくやって」

「ほらね、先に話したら、抱いてくれなかったでしょ」

 

孝介の胸をたたきながら、泣き笑いをした。確かに抱けなかったかもしれない……

 

「こんなに激しくやって、体に障らないのか」

「そんなことは分かんないわ。うーんと良い気持ちだった。体の芯まで強烈にいったわ。それにお医者さんは、セックスをしちゃいけないって言わなかったもの」

「聞いたのか」

「聞かないわよそんなこと。良いのよ、どうだって……やった者勝ち」

 

勝ち誇ったような笑顔を見せ、孝介の乳首を柔らかく噛んだ。

手術をして、もとの生活に戻れるなら、その間だけ誰かに店を頼むことも考えた。けれども先のことが分からなくては、頼まれた人も不安定で受けられないだろう。この際きっぱり店は辞めて、次のことはまた考えようと決心した。

病院も、東京を離れる。

先端の治療をする病院を紹介してもらったという。