うわさ
よし子は裸の孝介の胸を、背中を、腰を、いとしむように撫でた。
腹から撫で下ろし、固くなっているのを確かめるように、両手でそっと包んだ。
繊細な指遣いが、孝介の先端を痛くなるほどに刺激する。
孝介のうめきに、よし子は悪戯っぽい目をして見せた。
孝介が乳房を口に含むと、よし子の喉が鳴り、腰がねじれた。
股間を膝で割り、指を入れ、十分に濡れているのを確かめた。
「孝さん、急がないで、ねえ、お願い、ゆっくりして、ゆっくりよ」
この段になって、喘ぎながら、まだ言う。
―そんな芸当は俺にはできない。
―俺の腰は始まったら言うことを聞かない。
よし子が両足を絡ませる。
締まりがさらに孝介を高ぶらせる。
「いくぞ」
くぐもった孝介の声に、よし子が体をのけぞらせた。
果てた後、よし子は動かなかった。
よし子を抱くと体中の縛りが解き放たれるような気持ちになる。
よし子にすべて吸い込まれたような、その気分が良い。
しかし今日はそんなことを言っていられない。
「話す約束だろう」
なおもよし子は眠っているように孝介の胸に頬をつけていた。
孝介は、ほてりの残っているよし子の背中をゆっくりと撫でた。
「一人で抱えてないで、話してくれ」
「―病気が見つかったの」
思いがけない言葉に孝介は息が止まった。
店のやりくりとか身内のトラブルとか、いろいろ考えてはいたが、普段元気なよし子から病の話が出るのは想定外だった。