3 医学部教養で自由な学習を

④生きた英語を学ぼう

日本で医師として働くには、高い英語力はいらない、と考える人も多いかもしれません。でも英語力を高めることで、医師としての活躍の場が広がります。

また英会話のスキルは低くても、英文を読影する力があれば、世界で広く読まれている英語論文を気軽に目にする機会も増え、理解が深まります。また読解力が高まれば、短時間で要領よく読み込むことができるようになります。

⑤海外留学の可能性

医学部は6年間あるので、もし若いうちに海外での経験を深めたいと考える人がいれば、一般教養を学ぶ延長として、海外留学をお勧めします。社会人になる前、また医学部なら専門教育の始まる前に、実行することができるでしょう。

視野を広めるため、自分自身の経験をより豊かにするためには、よい機会だと考えます。夏休みの期間に1、2カ月程度夏期講習を行っているプログラムもあるようです。また思い切って1年留年して、海外留学をするのもよいのではないでしょうか。

長い人生の中で医師になるのが1年遅れても、大きな損失にはなりません。むしろその留学で得られる貴重な経験が、その後の人生をきっと豊かにしてくれると信じます。

なお留学にはそれ相応の費用がかかります。多くの場合は奨学金制度があるので、ぜひ応募して活用を試みてください。場合によっては、親のすねをかじることになるかもしれません。でも長い人生を考えると、二度とない機会だし、強く希望すれば、周囲の理解も得られるのではないでしょうか。

私自身は、高校3年生の時に1年間米国に留学をしています。正直いって留学するまでの高校生の成績は、かなり高い方でした。もしそのまま医学部に進学すれば、たぶんたいていの大学への合格可能性は高い、と進路指導の先生から太鼓判を押していただいていました。

こんな折に一年間も海外に行ったら、きっと成績が落ちて、医学部進学は難しいかもしれないよ、とも脅かされていました。きっと高校側としては、ひとりでも医学部進学者数を増したかったのかもしれません。

確かに一年後帰国すると、成績はかなり落ちており、その後復帰するのにかなり苦労しました。両親は進学のことを心配していましたが、最後は気持ちよく留学に賛同してくれました。また留学資金も援助してくれたことに感謝しています。なにより海外留学で得られた貴重な経験は、社会人になった後、現在に至るまで大変役立っています。