「「・・・・・・・・・・・・」」

死ぬつもりなど、シンとユウには毛頭なかった。

自分達が強すぎるあまり、生き残ることがあたり前になっていたため・・・・・・・・院長の言葉で、自分達は簡単に死んではいけない存在なのだと、これを機に、2人はそう思うようになった。

とある渓谷

ドドドドドドッ

けたたましい振動音が、辺り一帯に鳴り渡っていた。

その音を発しているのは、渓谷全体を覆わんとする白い大蛇である。

巨体に似合わず、動きは非常に俊敏であり、魔力を扱える人間でも、普通では到底かなわない強大な魔物である。

だが・・・・・・・・・今、大蛇が相手にしている2人の人間は、「普通」ではなかった。

ジャラリリン

幾つにも連なる半透明の長い鎖が、大蛇の巨体に余すことなく絡み付き、まともに身動きが取れなくなる。

ギャオウォォウオオオオッ!

叫びを上げ、力尽くで鎖を引きちぎろうとするも、びくともしない。

「シン! お願い!」

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