「・・・・・・・・・・・そうか。」
「あ、照れてる。」
「ユウ。ちょっと黙ってくれ。」
院長とも親しくなり、いつしか2人は、孤児院になくてはならない存在になっていた。
「それとユウ様! ルナちゃんも元気ですからね!」
ルナとは、先日2人が保護した、緑髪の小さな女の子である。
「・・・・! ・・・・・そうですか。」
ユウは胸を撫で下ろし、安堵した表情を見せた。
「良かったな、ユウ。」
目を覚ましたルナには、魔物に対する憎しみの感情が一切なく、元来の明るい少女に戻っていた。
まるで「誰か」が、都合の悪い記憶や感情を消しているみたいに・・・・・・・・・・・。
「お2人は今日も、魔物の討伐に行かれるのですか?」
「はい。そうです。」
「おう。」
「・・・・・・・・・・・・」
2人の返事を聞いた後、院長の表情が変わった。
子を愛する母のような面持ちとなり、優しくすべてを包み込むような口調で、院長は2人に激励を飛ばした。
「シン様。ユウ様。自分の体だけは、ほんとうに大事にしてくださいね。」
「「!!」」
「頑張るのはいいことです。ですが、お2人にもしものことがあったら、悲しむ子達がたくさんいることを・・・・・・・・忘れないでください。」