はじめてのおはなし会のはなし
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緊張していたからだろうか、図書室日記にはどんな本を読んで様子はどうだったのかということだけが簡単に書かれていた。
でも「みんなちゃんと聞いている。絵本の力ってすごい」というのは共通した感想だ。みんなでおはなしの世界で遊ぶことができていたのであれば、それはとてもうれしいことだ。
けれども、いつもおはなし会は大成功、というわけではない。
ざわざわしたりして、集中していないこともある。
座っているところに紛れ込んだ虫が気になってしまうこともある。
あっけなく終わってしまう絵本の時は、みんな「ぽかん」としている時もあるし、「けっ! つまんねえ」なんて言う子もいる。
でも図書室の前で「おれ、なかにはいりたいんだけど、まだだめ?」と聞いてくる子もいる。
それらすべてひっくるめて、子どもたちと絵本とつながっているなあと思う。
とても贅沢な図書室の日々だ。
もう一つ。
年中さんと年長さんのおはなし会で読んだ川崎洋さんの詩「なまえのうた」のこと。
この詩は、ことばパフォーミング・アーティストのはせみつこさん(注1)が選んだ詩のアンソロジーの中に入っている。この詩集には川崎洋さんの他、谷川俊太郎さん、まどみちおさん、工藤直子さんなどが書いた楽しい詩が満載だ。
おはなし会で読んだ時、難しかったのかなあ、と日記に書いていたのだけれど、もっと子どもたちとことば遊びを楽しめば良かったのかもしれない。
はせみつこさんは、その詩集のおわりにこんなことを書いている。
──この本のおいしい食べ方についての〈よけいな〉ひとこと──
この本の読み方でも楽しみ方でもなく、おいしい食べ方。
詩は読むというよりも思わず「口がうごいてしまう」ものなのだと言う。
なぜそう思ったのかというと、子どもたちにとって「詩」は「詩」ではなく「し」という音であり、「し」という音から連想すること、知っていることをたくさんことばで表現したという。
はせさんは〈ことば〉とは〈音〉だということに子どもを通じて気づいたのだと。
私もことばを「意味」だけでなく、「音」としてもっと楽しみたいと思った。