「おまけに自分迄傷ついて、イマルを植物人間状態にするとは何を考えてプランしたんだ!」と更に怒りをぶちまけた。

「今回の依頼主からは王子、王女がまだ無事だったから良かったが、暫く状況が落ち着く迄待って、又連絡する!と言って来た。入手出来る筈だった報酬も半分もいかない。全く!!」

暫く沈黙が続き、司令官は、「ジェッダがこのチームをリーダーで引っ張って行け! ファイサルは、先ず目の治療に専念しろ! その後は顧問として手伝ってやれ! 次回は必ず成功するようにバックアップしてやれ! 以上だ! 出て行っていい!」と手を振って、三人を追い出した。

ジェッタは当惑した顔を浮かべながら歩き、ファイサルを見ると片目が赤く血走ってがっくりと落ち込み何かブツブツ言いながら横を歩いていた。ダンは少し遅れ黙って付いて来ていた。

ファイサルは、ジェッタだろうがダンだろうがもうどうなっても良いと思っていた。司令官の言葉にも反発していた。『王子達を殺るつもりなら命中率の悪いハンドガンなんか使うか! 馬鹿が!! 現場を知らないくせに、畜生!! あのフォークが……』ファイサルはただひたすら、俺をこんな目に遭わせたやつを仕留める事以外にもう興味を持っていなかった。

少し歩いていると副官が追いかけてきて三人へ、「暫くミッションは無いから訓練をして過ごせ!との司令官の指示だ」と伝え戻って行った。三人は、元居た兵員宿舎の方へとぼとぼと歩いて行った。

ビッグバンホールに於けるイギリス訪問中の王族が襲われたニュースは、その夜のトップニュースで放映された。各TV局は直ぐに事件当夜の状況を劇場前から中継し、アラブの王族が襲われ、多数の死傷者が出ていると報じた。

警察官が厳重警戒している中、未だ劇場前に残っている人々にもインタビューし怯えた顔をした人の声を報道していたが、大袈裟な話も有り、王室の数人が怪我をして病院へ運ばれ、手術を受けた方もいると女性キャスターは述べ、劇場出口へ多くの人が一気に殺到した事で骨折したり、怪我をした人が多数いると報じていた。

ジャイルズのメンバーが怪我をして手術を受けている事はファン殺到を考慮し、病院の要望も有り伏せて有った。

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※本記事は、2023年1月刊行の書籍『ラガーマン ジャッカル翔』(幻冬舎メディアコンサルティング)より一部を抜粋し、再編集したものです。